「星の王子様」という作品をご存知でしょうか?
世界で8000万部の売上をほこり、多くの人に読み継がれてきた不朽の名作です。
- 人間の生きがいとはなにか?
- 理想的な人間関係とはなにか?
- 心が世界の見え方を変えるとは?
これらの答えが、全てこの本に描かれているのです。
この記事ではそんなサン=テグジュペリ著「星の王子様」について解説していきます。
サン=テグジュペリとは
「星の王子様」の作者である、サン=テグジュペリとはいったいどんな人物でしょうか?
サン=テグジュペリは、フランスの作家であり航空機の操縦士でもあります。
郵便輸送の仕事にパイロットとして携わっていた彼は、欧州-南米間の飛行航路開拓などに貢献しました。
またその一方で、当時とても死に近い危険な職業であったパイロットという職業は、彼に生死を強く意識させます。
これが「星の王子様」の執筆へと繋がるのです。
サン=テグジュペリ「星の王子様」とは
「星の王子様」は1943年にアメリカで出版されました。
児童文学と称されることが多いですが、実はサン=テグジュペリは大人を対象に書いていたこともあり、大人向けの示唆に富んでいます。
彼のパイロットとしての体験を元に創作されたと言われています。
現在では257カ国語に翻訳されている大ベストセラーであり、世界では8000万部が売り上げられています。
サン=テグジュペリ「星の王子様」の解説
ここからは「星の王子様」の内容について解説していきます。
この記事では物語のストーリーではなく、そこから読み解ける教訓についてくわしく解説していきます。
子供心を忘れてはいけない
星の王子様はパイロットに羊の絵を書いて欲しいと言います。
そしてパイロットが最終的に描き出したものが下の絵です。
一見すると四角い箱(中に羊が入っている)を描いた、意味の分からないものですが、星の王子様はこれを気に入ります。
今までパイロットはいくつものちゃんとした羊を描いたのにも関わらず、王子はこの絵を好んだのです。
このシーンから得られる教訓はなんでしょうか?
それは、日々の忙しさや周りからの反対で、直感的に好きなものを封印している、ということです。
日々の忙しさや周りからの反対で、直感的に好きなものを封印している
パイロットは6歳の頃から絵を描いており、将来は画家になりたいと思っていました。
しかし、幼いころに描いた絵は周りの人間に認めてもらうことができず、彼はその夢を心の奥底に封印していたのでした。
そんな彼の直感的なやりたいことを封じ込めている状態が、「箱に入れられた羊の絵」には描かれているのです。
あなたはどうでしょうか?
- 毎日が忙しいから
- 周りが理解してくれないから
- あまりにも長い間夢を封印しすぎて、やりたいことが分からない
これらの理由で、心が本当に求めていることができていない人はとても多いように感じられます。
あなたが本当に欲しいものはなんでしょうか?
幼いころのあなたの心にあった純粋な思いを思い出してみましょう。
子供心の解放
「箱に入れられた羊の絵」は大人の心の比喩となっています。
箱 = 大人の部分
箱の中の羊 = 子供の部分
本来あなたの中に存在する子供の部分(子供心)は大人になるにつれて舗装されていき、最終的には箱の中にしまわれてしまうのです。
自分の本心をしまい込んで、社会的に正しい在り方を自分に当てはめ、外装を固めてしまうのです。
これでは子供心は封印されてしまいます。
一方パイロットは「箱に入れられた羊の絵」の中で空気穴を描いています。
つまり、中にいる羊をまだ殺してはいなのです。
彼の心の中にある、子供の頃の熱い思いはまだ消えてはいないのです。
心のバランス
子供心を思い出して、自分の本心のままに生きることは重要です。
しかし、子供心を解放してやりたい放題することは理想的ではありません。
大切なのは大人の心と子供の心のバランスです。
大人の心=客観性、知識や経験
子供の心=主観性、無知や無邪気さ
両者はお互いに欠けてはいけません。
大人の人間が子供心だけを持っていては、倫理観が欠けたできそこないの大人なだけです。
2つの心のどちらともの重要性を理解したうえで、そのバランスをとることが大事です。
しかし、現代を生きる大人たちは、特に”子供の心”の割合が少なくなっている印象を受けます。
客観性だけを重視して、周りの人間の評価だけを気にしていては、あなたらしい人生は送れません。
あなたの”子供の心”を思い出してはいかがでしょうか?
人間関係とは飼いならすこと
星の王子様は旅の途中で出会うキツネに次のように言われます。
「あんたとは遊べない、なぜなら飼いならされていないから」
星の王子様では、絆をつくることを飼いならす、と表現します。
飼いならす = 絆をつくる
なぜこのような表現をするのでしょうか?
なぜなら、絆を生み出すような深い人間関係を作ることは責任が伴うからです。
飼いならすとは、自分が相手に要望を言い、相手がそれを受け入れるということです。
自分が責任を持って相手の気持ちを読み解き、相手を受け入れてあげるのです。
また飼いならすとは、飼いならし合うことを指します。
つまり、自分が相手に影響を与えるのと同時に、相手もまた自分に影響を与えているのです。
「飼いならす」という表現からサン=テグジュペリは何を伝えたかったのでしょうか?
それは、以下のようなことでしょう。
- 深い人間関係を生み出し、絆を育むことには、責任と義務が伴う
- 理想的な友人や恋人は存在しない、自らが共同作業をして理想的な関係性を目指すべきである
- お互いを飼いならすとは、お互いになくてはならない存在になることである
理想的な人がいないから、と言って深い人間関係を築くことを放棄している人はいませんか?
最初から理想的な人はいません。
その人と出会い、お互いを飼いならすことで、理想的な関係性に変わっていくのです。
飼いならすことは簡単ではない
飼いならすことはとても難しく、また勇気のいる行動です。
相手に自分を受け入れてもらう代わりに、自分もまた相手を受け入れなければいけないのです。
相手に変わることを求める代わりに、自分も相手に合わせて変わらなければいけないのです。
これは非常に勇気のいることです。
また辛抱も必要です。
短時間で他者との信頼関係は築くことができません。
友達や恋人との人間関係はできあがった形で存在していません。
時間をかけて、辛抱強く、責任を持って作り上げていく必要があるのです。
だからこそ、サン=テグジュペリは「絆を創る」ではなく「飼いならす」という表現を使ったのでしょう。
かけがえのない存在
旅の途中で出会ったキツネは星の王子様に言います。
「金色の麦を見てあんたを思い出す
麦畑をふく風の音が好きになるのさ」
ここから、飼いならすことの本当の重要性が読み解けます。
飼いならすことは、とても難しいことです。
しかし、それを超えた先には素晴らしい世界が広がっています。
飼いならした相手は、かけがえのない存在となり、世界の見え方を変えてくれるのです。
自分の本心から湧き上がる、この人と仲良くなりたい、という思いを貫き、責任をもって飼いならすことができれば、世界はより美しく見えるようになります。
キツネは星の王子様はお互いに飼いならしあうことで、かけがえのない存在となります。
そうすると、世界の見え方が大きく変わります。
キツネが金色の麦を見ると、星の王子様の髪の色と似ているため、星の王子様のことを思い出し、嬉しい気持ちになるのです。
そして、その麦畑から吹く風の音が心地よい音色となり、好きになるのです。
人間は相互努力によって生み出されたかけがえのない存在を通して、世界をより美しく認識できるようになるのです。
世界は彩を取り戻し、本来以上の美しい世界となるのです。
大事なことは目には見えない
星の王子様のメインメッセージは”大事なことは目には見えない”でしょう。
旅の途中で出会ったキツネは星の王子様に次のように言います。
「大事なことは目には見えない」
時は移り、王子様とパイロットは長い間話をしているうちに、水が尽きてしまいます。
彼らは水を探しに砂漠を放浪します。
パイロットは今まで自分の心を見つめたことがありませんでした。
周りの人間の言うことに従い、自分の心を塞ぎこんでいました。
目に見える物を追い求め、目に見えないものを軽視していました。
しかし、星の王子様の生き方は違いました。
星の王子様には、自分の星にいるバラへの愛情がありました。
星の王子様は、自分の本心を大切にし、それに従って行動していました。
星の王子様は、かけがえのない存在の大切さを知っていました。
星の王子様は、目に見えないものを大切にする生き方をしていました。
そんな彼の情熱を持つ生き方に感銘を受けたパイロットは、彼の心の奥底に封印されていた本心を開き始めます。
すると、目の前に井戸が現れました。
見えないものへの目が開かれたから井戸が現れたのです。
砂漠が美しいのは…
星の王子様はキツネとの出会いを通して、見えないものを大事にする生き方を学びました。
大切なことは目には見えない、でもそれがあるからこそ世界は美しく見える
だからこそ、星の王子様はパイロットに次のように言います。
「星が美しいのは、目に見えない一本の花のせいなんだ
砂漠が美しいのは、どこかに井戸を隠しているからだ」
星の王子様から見える星は、とても美しいものでした。
なぜなら、その星たちのどれかに、自分の愛するバラがいるからです。
星の王子様から見える砂漠は、とても美しいものでした。
なぜなら、その砂漠のどこかに自分たちが探し求める井戸があるからです。
井戸は心の渇きを癒す
目には見えない大切なものは、世界の見え方を大きく変えます。
パイロットは、”大切なものは目には見えない”ことを知った瞬間に井戸を見つけることができました。
世界の見え方を変えた瞬間に、自分たちの目の前に井戸があったことを知ったのです。
この井戸は友情や絆の井戸を指しています。
見えないものを大事にしようとする生き方をするようになったパイロットの、心の渇きを癒してくれるのです。
そしてこの井戸はどこの村にもあるような昔ながらの井戸でした。
これは、誰の心の中にもこの井戸が存在することを指しています。
大事なことを見極めれば、誰の元にでも心の井戸は浮き上がってきます。
これを見つけた瞬間から、あなたの世界は一変するのです。
心の在り方は世界の見え方を変える
あなたの心の状態が、世界の在り方を変えます。
目には見えないものが、あなたの心に大きな影響をもたらします。
目に見えるものばかりを重視していると、あなたの本心はどんどん鎖されてしまいます。
怖い、悲しい、辛い、などのネガティブな感情が心を覆いつくすようになり、世界は邪悪で苦しいものに見えてきます。
しかし、目には見えないものを大切にする生き方をしていると、世界は美しく明るくなっていきます。
目には見えないものとは以下のようなものです。
- 他者との人間関係
- 大人の心の奥底にある本心(子供の心)
あなたの心は楽しい、嬉しい、誇らしいなどのポジティブな感情で満たされていきます。
そうすると、世界の見え方は大きく変わっていくのです。
星の王子様からのメッセージ
目には見えないものは、その重要性を忘れられがちです。
なぜなら、目に見えないからです。
心や感情は世界の在り方を大きく変えるものなのに、目に見えないがためにその存在を忘れられてしまいます。
世界は心に影響を与えるとともに、心もまた世界に影響を与えています。
目に見えないものは、世界の在り方を定義できます。
あなたの心の在り方次第で、世界はいくらでも形を変えることができるのです。
最後に、王子がパイロットに残した言葉を載せます。
君が夜 空を見上げると
ぼくが星の1つに住んでいて
その星で笑っているので
きみには全部の星が
笑っているように見えるだろう
君は笑う星を持つことになるんだ
サン=テグジュペリ「星の王子様」
サン=テグジュペリ「星の王子様」まとめ
星の王子様は不朽の名作として、たくさんの人に読まれてきました。
目には見えないものの大切さを説くこの作品は、我々の人生を大きく好転させる力を持っています。
ぜひ一度読んでみてください😆
以下記事のまとめです。
- 多くの大人は本心を封印している
- 子供の心と大人の心を両立させるべき
- 人間関係とは飼いならすこと
- 人間関係を築くことには責任と義務が伴う
- 苦労を乗り越えた先には、かけがえのない存在がある
- 大事なことは目には見えない
- 目に見えない心の在り方が、世界の見え方を変える
- 本心に従う生き方は、心を癒す
- 喜びを伴う深い関係は世界の在り方を変える
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