儒教・仏教と並んで、中国三大宗教に含まれている道教。
道教とは老子によって創られた、道を大切にする教えです。
儒教はエリートの思想と呼ばれる一方、老子は落ちこぼれの思想として名を馳せてきました。
例えば、「大器晩成」や「千里の道も一歩から」などは老子の言葉です。
この記事では、そんな「老子」について解説していきます😆
「老子」とは
「老子」とは、今から2300年前の古代中国で書かれた思想に関する書物です。
元々は竹簡だったものを、時代を経て紙ベースに変えていったとされています。
本の構成は81章の格言集であり、ストーリーはありません。
作者である老子は中国春秋時代を生きた哲学者だと言われていますが、詳細は分かっていません。
中国三大宗教の1つである道教は、老子の教えをもとに創られています。
「老子」の解説
老子の思想は癒しの思想であり、人生を生き抜くための思想です。
社会が混迷を極めている時、競争が激化している時、老子の思想は大きな力を持つのです。
この章では、そんな「老子」の思想について解説していきます。
道(タオ)
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「老子」の思想を語る上でまず理解しなければならないのが、”道”という教えです。
道は中国語でtao(タオ)と読みます。
道は万物創成の母であり、無限のエネルギーを持つものです。
道とは、万物創成の母であり、無限のエネルギーを持つもの
道は天地よりも先に誕生しました。
物体も形も何も存在しない状態を無と呼びます。
無から天地が生まれ、天地から万物が生まれます。これを有と呼びます。
無から有が生まれたのは道の働きによるものです。
無と有が存在できるのは、道があるからなのです。
自然
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自然界には一定の法則があります。
- 日が昇って沈むこと
- 雨が降って水が流れていくこと
- 四季が巡っていくこと
これらは全て他から力をうけなくとも、自ずから(おのずから)営んでいます。
このような自ずからなる営みを、老子は”自然”と呼びました。
自然とは、おのずから勝手にそうなっていること
それは誰かによってそうさせられているのではなく、勝手にそうなっている、と考えたのです。
人は大地の営みに支配される
大地は天の営みに支配される
天は宇宙の法則である道に支配される
つまり、人の営みや自然現象全てに道が関連しており、それらは全て”自然”と定義されたのです。
少しややこしいので、一旦整理しましょう。
「老子」の思想における道とは…
・天地や宇宙を生み出す根源
・万物創造のエネルギー
・自然(おのずからしかり)
そして、人間は道に従い自然に生きることで幸福になれると説いたのでした。
”あるがまま”の教え
「老子」の思想は道を中心に展開されていきます。
全ては道に従ってあるがままに存在するべきなのです。
具体的な教えを1つずつ見ていきましょう。
形式に囚われるな
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形式に囚われてしまい、本心からズレてしまうことは多々あります。
形式にとらわれた結果、本質を見失ってしまうのです。
老子はこれを批判します。
儒教の思想は形式主義的な面が強いです。
エリート向けの思想であり、かなりの決まり事がありました。
マニュアルが存在しており、それに従うことが正しいとされていたのです。
老子はこれを痛烈に批判します。
「老子」の思想では、形式は道の教えに反しており、人間性を豊かにはしないと考えていたのです。
形式に当てはまりすぎると、自分を見失いあるがままの状態から離れてしまいます。
道から外れ、自然ではない状態になるのです。
形式は必要以上の存在になると、我々の自然を否定することになります。
しかしこれでは、豊かさは手に入らないのです。
無為に生きる
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老子の言葉に以下のようなものがあります。
道(みち)は常(つね)に無為にして、而(しか)も為(な)さざる無し。
老子
”あえて何もしないこと”を選択することを勧めたのです。
多くの人は意図的な努力(作為)を行おうとします。
- モテたい
- 出生したい
- お金持ちになりたい
人と比べて劣っている点があると、大抵の場合は努力して追いつこうとします。
しかし、老子はこの努力(作為)も否定します。
なぜなら道に反するからです。
人間は生まれた瞬間は道に従っており、自然の状態です。
しかし、成長していくにつれて、必要のないものを身に着けていくのです。
老子は以下のようなものは道に反するので必要がないといいます。
- 達成感
- 顕示欲
- 嫉妬心
欲望や知識などは、生きていくうえで余計なものであり、自然の道から外れていってしまう要因になりうるです。
老子が目指すには”無為自然”の状態です。
無為自然とは自分の本来の姿を指します。
無為自然とは、本来のありのままの自分を指す
知識や欲望を身にまとうのではなく、本来のあなたらしい姿でいることが豊かな人生を送る極意なのです。
水のように生きる
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老子は道に従った生き方を”水”に例えて表現します。
徳のある人の生き方はまるで水のようである、と考えたのです。
実際に「上善は水のごとし」という言葉も存在しています。
水は柔らかくしなやかで、万物を育てます。
自然に寄り添い、争うこともなく、威張ることもありません。
より低いところに流れていき、万物に施すも、見返りは求めません。
万物をありのままに写し、嘘偽りはありません。
人間も水のように生きることで、道に近づくことができるのです。
弱きものほど強い
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弱いものには強いものを覆す力があります。
それは、弱いものがその弱さに徹しているからです。
道を受け入れ、弱いものは無理に強くなろうとせずに弱いままでいることで、最終的には強いものな勝ることがあるのです。
老子の言葉で次のようなものがあります。
「天下の至柔(しじゅう)は天下の至堅(しけん)を馳騁(ちてい)す」
老子
これは、天下で最も柔らかいものが固いものを動かすことを指しています。
日本語でも、「柔よく剛を制す」などは聞いたことがあるかもしれません。
弱さに徹して柔らかくしなやかでいることは、強くて頑丈なものを打ち負かすことができるのです。
具体例として役立たずの木の話があります。
丘に一本の木が立っていました。
通常であれば木は全て伐採され、木材となるのですが、その木は形が変だったので切られませんでした。
多くの人はその木を”役立たずの木”と呼びました。
しかし、しばらく時間が経ち、その木は立派で美しい木になりました。
役に立たないからこそ、切られずに大きな美しい木になったのです。
今では多くの人に役立っています。
今は役に立たない、弱いかもしれませんが、全く焦る必要はありません。
自らくよくよするのではなく、ありのままで自然体でいればいいのです。
成長や効率だけが全てではありません。
目の前の物事だけに囚われるのは辞めましょう。
道と共に生きる
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社会の形式に合わせて生きることは簡単ではありません。
レールの上から外れてしまい、社会的にダメの烙印を押されることもあるでしょう。
しかし全く気にする必要はありません。
現代社会の枠組みだって、大自然の中の一部でしかありません。
より大きな存在(宇宙の法則)である道に身をゆだねましょう。
- 必要以上の名声や富を求めるのは辞めましょう。
- 自然に反して、無駄に他者との比較をするのを辞めましょう。
- 何事においても、無理している状態を避けましょう。
これらは全て道に反しているのです。
- 足ることを知りましょう。
- あなたが持って生まれた天分や才能を活かしましょう。
- 他人にあこがれることを辞めましょう。
自分は自分でいい、自分らしくありのままでいる、そんな生き方が道に従う生き方です。
あなたが進む道は本来の自分が求めるものですか?
それとも誰かからの指図や社会からの意思によるものですか?
多くの人は自分を押し殺し、形式に縛られ、自然に反する状態で生きています。
それでは徳の高い生き方はできないのです。
「老子」まとめ
「老子」の教えは今までに多くの人に影響を与え、また救ってきました。
道に従って自然に生きる、これを意識することで、あなたの人生も少し生きやすくなるかもしれません。
以下記事のまとめです。
- 道とは万物創成の母であり、無限のエネルギーを持つものであり、自然とはおのずからなる営み
- 道に従って自然に生きることが、「老子」の思想の極意である
- あるがままに生きるための教え
- 形式に囚われない
- 無為に生きる
- 水のように生きる
- 弱きものほど強いことを知る
ぜひ参考にしてみてください😆
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