アランワッツをご存知でしょうか?
彼は60年代のカウンター・カルチャーのカリスマ的リーダーの一人であり、哲学者・作家です。
彼の広大な知識と深い洞察から紡ぎだされる言葉は、非常に学びが多くためになります。
この記事では、そんなアランワッツの進路相談に対する回答を解説していきます。
アランワッツとは
アランワッツ(1915-1973)とはイギリスの作家であり哲学者です。
主に宗教と哲学に精通しており、仏教や道教、ヒンドゥー教の解釈と普及を促進したことで知られています。
彼の経歴を簡単に説明すると、
1938年に渡米してから、ニューヨークで禅の修行をする。
シーベリー・ウェスタン神学校で神学の修士号を取得し、1945年にエピスコパル司祭となる。
1950年に聖職を退き、カリフォルニアに移り、アメリカ・アジア研究アカデミーの教授に就任する。
以降、宗教や哲学に関する本を20冊以上出版する。
彼の有名な著書には、「The Way of Zen」や「The book on the taboo against knowing who you are」などがある。
将来の進路に迷う君へ
進路を考える上で多くの人が囚われている固定概念があります。
それが、お金です。
将来の進路とは本来、金銭を考えることなく、自分が心からやりたいことを選び抜くための分岐点なのです。
だからこそ、お金という固定概念は取っ払う必要がある、とアラン・ワッツは言います。
しかし、そんな簡単に固定概念をはずすことはできません。
なぜなら、我々が持っている思考は、義務教育によって作り出されたガチガチの思考だからです。
だからこそ、多くの人々は以下のような思考をします。
- 画家になりたいけど、それじゃあお金を稼げないから辞めよう
- 詩人になるなんて現実的じゃないから辞めよう
- アウトドアが好きだからキャンプのインストラクターになりたい、でも金銭的にあまり魅力的でないから辞めようかな
- とりあえず高収入な仕事に就こう
- そもそもやりたいことが分からない
進路を選ぶ上での最優先事項がお金になってしまっているのです。
お金は気にするな
お金を最優先にして選択と決断をしていると、人生は完全に無駄になってしまいます。
やりたくないことをひたすらやり続け、生きていくためにお金を稼ぐのはばかげています。
短くても好きなように生きる人生を選ぶべきだと、アラン・ワッツは言います。
好きなことややりたいことを追求することは人生を豊かにしてくれるでしょうが、ではどうやって生活を営んでいくの?という質問が生まれます。
やりたいことだけやってたら、お金は稼げないのでは?という疑問です。
しかし、ここにも義務教育や家庭教育、社会常識などの固定概念の罠が潜んでいます。
多くの人は次のように考えています。
- 仕事とは辛いものである、辛いことをするから金銭は得られる
- 好きなことを追求して生きていけるほど、世界は甘くはない
しかし、これらの考え方は間違っています。
大切なことは、好きなことを継続すると達人になり、達人になれば価値を提供できるようになるので、お金は稼げるようになる、というロジックです。
そもそも好きなことでなければ、達人になることはできません。
自分の興味のない分野でプロになろうとしても、それが好きで好きでたまらない人と競争になったら、勝ち目はありません。
自分の好きを追求すると、レベルが上がっていって周りに価値を提供できるようになる。
金銭とは価値との対価交換なので、価値があるところにお金は集まる。
この事実をしっかりと理解しましょう。
つまり、自分のやりたいことを追求すると、自然と金銭は得られるのです。
固定概念の再生産
なぜ労働は苦しく辛いものや、お金を最優先するべき、という思想が生まれ、それが再生産されるのでしょうか?
それは、すでに育ち切った大人たちがその固定概念を持ったまま、子供に教育を施しているからです。
教育として受け継がれた悪しき固定概念を、子供たちにまた受け継いでいくのです。
これらの思想を継承することは大人にとっては価値があることです。
なぜなら自分の思想に正当性と自己満足を感じることができるからです。
自分を疑い、常識を疑うことができない限り、この連鎖は止まることがありません。
誰もが心の中に何かもやもやした感じを持ちながらも、それを吐き切ることができずに胸の内にとどめているのです。
あなたが当たり前だと思っていることは、実は全くもって間違っているかもしれません。
そしてこれは将来の進路の決め方に関しても同じです。
あなたが本当に求めているのは、幸せな人生でしょうか?それとも金銭の人生でしょうか?
あなたは本当は何を求めているのか
あなたが本当に求めているのものは何でしょうか?
- 幸せな生活
- 安定した未来
- 大きな金銭的報酬
- 良好な人間関係
100人いれば100通りのものを求めるでしょう。
そして、ここである事実に気付くことができます。
それが、我々は”全てを管理し、支配したいと願っている”という事実です。
人間はなんでも創造できるような、素晴らしい能力を求めるのです。
- 安定した未来
- ずっと続く人間関係
- 一生お金に困らない生活
- 予定調和された現実
これらを手に入れられるような能力を求めています。
しかし、これらは”おかしな機能的全能性”だとアラン・ワッツは言います。
これらは本質的には求めていないのだと、アラン・ワッツは考えます。
予測不可能な愉快な驚き
全てをコントロールし、予測できる未来を生きることは、全て過去の話です。
自分の意思を過去に飛ばせば、これらの経験は容易にすることができます。
だからこそ、この”おかしな機能的全能性”は求める必要がないのです。
では、我々が本当に求めているのは何か?
それが完全に予測不可能な愉快な驚きです。
突然やってくる楽しいイベントや幸運は、人生をより良いものにしてくれます。
未来が全て分かっていて、全てをコントロールできるような世界を想像してみてください。
おそらく毎日に驚きという概念は存在しないでしょう。
明日起こることも、来年の今日に起こることも、全てが分かっているので、ドキドキはありません。
ただ淡々と、予想通りの未来を歩んでいくのです。
これでは人生に彩がないのではないか?人生とは予測できないから楽しいのではないか?というのがアラン・ワッツの主張なのです。
愛の輝きを放て
愉快な驚きを求めるということは、不愉快な驚きも存在するということです。
幸運な出来事という概念が存在する時点で、その対称である不運な出来事という概念が生まれるのです。
天使がいるから悪魔がいる。
悪があるから正義がある。
悪人がいるから聖人がいる。
このように全ての存在は、対極の存在がいてこそ成り立ちます。
では何が言いたいかというと、愉快な驚きを求めると、不愉快な驚きもやってくるよ、ということです。
予測不可能な未来を生きることは、楽しい時もあれば辛い時もあるのです。
そして全てをコントロールしようとして、辛い時をなくそうとすると、楽しい時も同時に消えてしまいます。
ではどうすればいいのでしょうか?
それは、愛の輝きを放つことです。
愛の輝きを放つとは、愉快な驚きも不愉快な驚きも、同じく人生に彩を与えてくれるものだと認識し、それらすべてに愛を持って接する、ということです。
良い人生とは悪い人生があるからこそ成り立ちます。
お金持ちとは貧乏がいるから成り立つ概念です。
つまり、全ての事象に尊敬と愛を持って接することで、あなたが人生で求めている予測不可能な愉快な驚きは手に入れることができるのです。
ワクワク感を大切にする
お金という概念を忘れ、予測不可能な愉快な驚きを求めていることを理解しましょう。
では、あなたが将来の進路を考える上で大切なことは何でしょうか?
それは、予測不可能な愉快な驚きを提供することです。
あなたの好きなことを追求し世界に価値を提供することは、予測不可能な愉快で人を驚かせることと同じなのです。
あなたがやりたいことを追求することで、そこに予測不可能な愉快が生まれます。
それは色々な形で他の人へと伝わり、多くの人の幸せへと繋がっていきます。
そして、あなたが大切にするべきは”ワクワク感”です。
あなたがそれをすることにワクワクするか、これが非常に大切です。
お金が稼げるか、周りの人がなんて言うかより、あなたのワクワク感の方が何倍も大切です。
ワクワクを追求して、夢見る現実を今この瞬間に再現しましょう。
まとめ
哲学者であるアラン・ワッツの語る進路相談について解説しました。
少し内容が難しくなってしまいましたが、簡単に要約すると以下のようになります。
- 金銭のことは気にするな
- 好きなことを極めれば、そこに価値が生まれ金銭は勝手に集まる
- 人間が本当に求めているのは”予測できない楽しい驚き”
- あなたのワクワク感が”楽しい驚き”を生み出す源泉となる。
ぜひ参考にしてみてくださいね!
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