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サルトル「実存主義とは何か」を分かりやすく解説

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第二次世界大戦後の世界は、混沌とした不安に満ちていました。

そんな時代において、人間の可能性を信じ、人々を先導した思想がありました。

それが実存主義です。

サルトルが生み出した実存主義の思想には、現代を生きる我々にも大きな影響を与えてくれます。

この記事では、そんなサルトル「実存主義とは何か」について解説していきます😆

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サルトルとは

Wikipedia参照

ジャン=ポール・サルトル(1905-1980)とはフランスの哲学者・小説家です。

「実存主義」という新たな思想を生み出し、戦後の疲弊した世界、特にヨーロッパを中心に、人々に勇気と希望を与えていました。

彼の著書には、「嘔吐」「実存主義とは」「存在と無」などがあります。

サルトルの生き方は実存主義の体現でした。

  • 奥さんとの信頼関係はありつつも、他者との自由な恋愛関係を築く
  • ノーベル文学賞は辞退する
  • 家や財産は持たない
  • お金にも無頓着

孤立を恐れずに生き方を模索する彼の姿勢は、多くの人々に影響を与えていきました。

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サルトル「実存主義とは何か」の解説

ここからは、サルトルの著書である「実存主義とは何か」について解説していきます。

この本で記されている”実存主義”は、第二次世界大戦後の未来への絶望と人間への失望が渦巻いていた若者たちの間で大人気となります。

サルトル自身もこの影響で時代の寵児へと上り詰めます。

実存主義とは

実存主義とは何でしょうか?

実存主義とは、人間の実存は本質に先立つことを主張する思想です。

実存主義とは、人間の実存が本質に先立つことを主張する

実存とは、そのもの自体(今ここにある存在)を表わす

本質とは、そのものの目的を表わす

具体例を出しましょう。

サルトルはペーパーナイフと人間を使ってこの実存主義を説明します。

まずペーパーナイフは”紙を切る”という目的が存在しています。

そして、その”紙を切る”という目的のためにペーパーナイフという実存(そのもの自体)が生まれます。

つまり、ペーパーナイフの場合は本質が先に存在しており、後から実存がついてくる訳です。

では、人間の場合を考えてみましょう。

人間はまず生まれてきます。

そして本質は決まっていません。

あなたの生まれてきた目的は〇〇である、と本質を最初から決められている人はいないのです。

つまり、人間は実存が先に存在しており、後から本質がついてくるわけです

実存主義にのっとって考えると、人間は実存だけが存在しており、あとからその人がどんな人間であるかは定義されるということです。

つまり、人間は自らが本質を選び抜くことができるのです

主体性を持って、自らの価値を選び取っていくことで、どんな人間にでもなることができる

これがサルトルの生み出した新たな思想だったのです。

人間は自由である

人間には本質(生まれてきた目的)がありません。

椅子も机もコップも携帯も、全ては目的があってから実存が生まれます、

しかし人間はその順序が逆なのです。

本質がないということは、自由だということです

最初から決められた目的が存在しているわけでもなく、自分たちで自由に目的を決定できるのです。

しかし、この自由であるという状態は、良い面だけを持っているわけではありません。

決められた目的が存在しないことは、孤独や苦悩などから逃れることができないのと同義であるからです。

実存主義ではこのことを”人間は自由の刑に処されている”と表現します。

不安は自由の証明

実存主義の思想では、人間が生まれてきたのは偶然である、と考えます。

我々の存在は良い意味でも悪い意味でも不条理なわけです。

目的もなく偶然生まれてきた我々は自由です。

自ら主体的に運命を選択していけば、本質を追求できるからです。

しかし、何にも縛られないことは不安でもあります

ペーパーナイフは、紙を切るという役割を与えられているので、不安になることはありません。

しかし、人間の場合は、あなたが存在する理由は何ですか?と問われたときの返答に困ってしまいます。

人間はいつも自分が存在する理由を考えると不安になってしまうのです。

何にも縛られない自由な状態は、心の解放と同時に不安の証明をしているのです。

必然の世界

現実世界のように偶然によって支配されている世界もあれば、そうではない必然の世界も存在しています。

  • 音楽
  • 絵画
  • 演劇

これらのような物は、全ての要素に役割が与えられ、完璧で必然的な世界を構築します

だからこそ、これらに没頭している時間は心の安心が得られるのです

完璧で全てが予定調和の世界には不安はありません。

でもそこには自由も存在しないのです。

地獄とは他人のことである

我々は自由を持って生まれてきます。

人生の本質(目的)は自由に選択していいのです。

医者になりたければ医者になり、やっぱり音楽家になりたい!と思い立ったら変えればいいのです。

しかし、そんな私たちの自由を脅かす存在がいます。

それが”他人”です。

人間は本来、自分で自分を評価し、決定します。

自分が医者になりたい、と思ったらそれが本質となり、それに従って生きればいいのです。

しかし、そこに”他人”という存在が現れると、状況が一変します。

何が起きるのかというと、相手によって自分の評価が規定されてしまうのです

これを対他存在と言います。

対他存在とは、他人によって規定された自分の評価を指す

自分VS他人

多くの人は自分VS他人の戦いを強いられています。

自分での自己評価と他人による自己評価で対立しているのです

例えば以下のような事例が挙げられます。

  • 大学受験で先生から「志望校を変えろ」と言われた
  • 医者になりたいと言ったら、「お前には無理だ」と親に言われた
  • おしゃれな服装をしたら、「友人にお前らしくない」と言われた
  • 学校で各科目の成績をつけられる

本来であれば自分の評価は自分でするべきです。

しかし、他者から何度も自分を規定されることによって、人間は自己評価をすることを辞めていきます

他人から規定される自分像に甘んじて、その通りの人生を送ってしまうのです。

サルトルはこの状況を”地獄とは他人のことである”と表現しました。

アンガジュマンの思想

サルトルは”アンガジュマン”という考え方を推奨しました。

アンガジュマンとは社会参加のことを表わし、自分が置かれた状況と向き合うことの重要性を説いています。

アンガジュマンとは、自分が置かれた状況に向き合い、社会参加をすることを指す

人間は生まれつき自由です。

つまり、置かれた状況に合わせて自分の立場を決定し、それに沿って行動することができます。

ここに人類の希望と可能性があると、サルトルは唱えました。

第二次世界大戦が終わり、人間の残酷さを知った人々は、未来への希望を失っていました。

土地は荒廃し、多くの人間が命を落とし、誰もが悲しみに明け暮れていました。

しかし、サルトルの思想はそんな時代において希望の哲学として登場します

希望の哲学

実存主義では、本質は自らの手で作り出せる、というスタンスをとります。

人類の目的は自分たちで定義することができるのです。

つまり、人間は自らの意志で何にでもなることができます。

これは規模が大きくなっても同じです。

置かれた状況の中で自分の意志に従って自分があるべき姿を定義し、その姿勢をもって社会に参画する(アンガジュマン)ことが大事です。

社会の在り方であっても、自分という存在であっても、他人任せでいてはいけません。

一人ひとりが意志を持って態度で示していくことで、社会は良くなっていくのです。

運命は人間の手中にある

人間はどんな存在にでもなることができます。

実存が先立つ人間という存在は、本質を後から自由に定義できるからです

運命は自らの意思決定によって自由にコントロールすることができるのです。

サルトルは”投企”という言葉を使って人間について説明します。

人間は主体的にみずからを生きる投企(プロジェクト)なのである

JPサルトル

投企とは、前に向かって自分の身を投げることを意味します。

投企は英語でprojectであり、proは前に、jectは投げるを指します。

つまり、人間は未来に自分の存在を投げ込んで自分の人生を創っていく、ということです。

あなたは自分を未来に投げ込むことで、何にでもなることができるのです。

多くの人は、他人から定義された自分に甘んじて理想を求めることを諦めます。

しかし、人間には運命を変える力(本質を自ら定義する力)があります。

主体的に自らの意志で本質を決定することが、希望を持って人生を生きるコツなのです。

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まとめ

サルトルの実存主義の思想は、戦後の人々に希望を与えました。

人間は実存が先立つので、本質は後から自由に定義できるという画期的な発想は、現代を生きる我々にも元気を与えてくれます。

以下記事のまとめです。

  • 実存主義とは、人間は実存が先立ち、本質は後から定義されることを指す
  • 人間は自由である分、不安や苦悩にも苛まれる
  • 多くの人は自分の本質を他人によって規定されている
  • 人々はしっかりと態度表明をして社会参加するべきである(アンガジュマン)
  • 運命は人間の手中にある

ぜひ参考にしてみてください😆

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