宮本武蔵をご存知でしょうか?
戦国時代から江戸時代初期を生きた彼は、最強の剣術家として知られています。
佐々木小次郎と宮本武蔵の戦いを知っている人は多いのではないでしょうか?
彼はどうして最強になることができたのか、
ここには、生まれ持った才能だけではない、しっかりとした彼の論理とマインドセットがあるのです。
そんな彼の戦闘哲学は、五輪書という書物に記されており、ハーバードビジネススクールの経営学の教科書としても利用されていました。
現代ビジネスの観点からも評価される非常に素晴らしい哲学なのです。
今回はそんな宮本武蔵の戦闘哲学を解説していきます!
宮本武蔵について
宮本武蔵(1584-1645)は、戦国時代から江戸時代初期に活躍した剣術家、兵法家、芸術家です。
幼少期から剣技の才能があり、命を懸けた最初の真剣勝負が13歳というのだから驚きです。
2つの刀を用いた二天一流の開祖であり、真剣勝負には必ず勝つという彼のマインドセットと戦闘哲学は非常に卓越しています。
実際にこの戦闘哲学や思想は、ハーバードビジネススクールの経営学の教科書に採択されていた時もあり、その評価の高さが伺えます。
ただ、根っからの戦闘大好き人間だったかというと、そういうわけでもなく、歌を詠んだり水墨画を描いたりと、芸術家や詩人として才能も持ち合わせていました。
宮本武蔵はかなり多彩な人だったことが分かります。
宮本武蔵「五輪書」の内容解説

五輪書とは、地の巻、水の巻、火の巻、風の巻、空の巻、の5つから構成される、宮本武蔵の戦闘哲学を詳しく記した本になります。
この5つの名称(地、水、火、風、空)は、仏教用語で五大を意味しており、宇宙を構成する要素を指します。
宮本武蔵はこの五大になぞらえて、彼の思想を書き記しました。
以降、彼の戦闘哲学について解説していきます。
1つの道を究めよ
宮本武蔵は戦闘技術や兵法だけでなく、書道や彫刻、水墨画に詩など、ありとあらゆることを独学で成し遂げてきました。
なぜそんなことが可能なのでしょうか?
それは、1つの道を究めることで、それを他の分野に応用することができるからです。
1つの道を究めると、そこから横展開ができるようになり、別分野の理解・習得が早くなります。
「一を聞いて十を知る」は可能なのです。
この例は、スポーツ選手などで特に顕著です。
なにか1つの競技を極めた人は、身体を動かすこと、脳の使い方などを自然と学びます。
すると、別競技を行う、といった際に、効率的に脳を動かし身体を動かすことができるのです。
これは分野が違っても起こりうる現象です。
だからこそ、宮本武蔵は数多くの分野で成功できたのです。
勝利のためには、使えるモノは全て使う

真剣勝負に負けなしの宮本武蔵のマインドセットは、自分が使えるモノを全て出し切る、というものです。
常に自分の手札を考え整理し、切り札も把握しておきます。そして適切なタイミングでカードを切っていき、いましかない、というタイミングで切り札を発動するのです。
これを分かりやすく言い換えると、自分が持っている道具やリソース、武器などをしっかりと把握しておき、環境やタイミングによってこれらを使い分けるということです。
弱い敵、またあまり重要ではない局面において、自分の切り札級の奥義を発動してしまうと、その次の本命での戦いに敗北してしまうのです。
最適なタイミングで最適な手札を使用する、これが鉄則なのです。
そしてそれを踏まえたうえで、真剣勝負に勝利するためには、自分の手札を全て使い切ることです。
力の出し惜しみをしている人や、力みすぎな人がいますが、これらはどちらともよくありません。
しっかりと状況を分析し、自分の手札も整理し、適宜最適なカードを切っていく。
このように合理的な勝ち筋を描いていくことが大切なのです。
平常心を保つ
自分の持てる力をフルで発揮するためには、どんな環境どんな状況であっても動じない、強い心、平常心が求められます。
例えば、
- 相手の数がめちゃくちゃ多い
- 超有名な武将が相手
- 相手の風貌や身体つきが凄く、圧倒されそう
このような状態であっても、平常心を保ちましょう。
心を操られる、つまり相手に圧倒されてしまうと、自分の勝利への道は閉ざされてしまいます。
これを現代風に言い換えると
- 超有名高校とのサッカーの試合
- 超有名な外資系企業とコンペティション
- めちゃくちゃ外見が良く、過去の実績もある上司との会議
このような状況を指します。
多くの人は、自分よりも能力が高い相手との戦いでは、負けを覚悟してしまいます。
しかしこれは、相手の態度や姿勢などに心が萎縮し、平常心を保てていないから起こりうるのです。
自分の心を落ち着かせ、状況をしっかりと把握し、相手を観察すれば、必ず勝利への道が開けるのです。
敵が大勢いたら、塊に分けて確実に倒していけばいいのです。
能力が高い人や過去の実績がある相手であれば、敵はあなたの実力をあなどり、隙が生まれます。
そこを狙えばいいのです。
自分や相手の表面だけを見比べることに意味は全くありません。
先入観を持たず、常に平常心で戦う姿勢を持ちましょう。
現代だとあまりありませんが、戦国時代の真剣勝負では、先入観で心を濁らせることが命取りになることもあります。
食うか食われるか、の世界ではそんなこと日常茶飯事だったのです。
これは現代で言うところの、ビジネスやスポーツでしょう。
真剣勝負の疑似体験であるこれらは、実際に心の状態が勝敗を分けます。
戦うことを決めたなら、雑念を取り払い、あれこれ余計なことは考えず、無心で取り組むのです。
心を鍛える

どんなときでも自分の心をしっかりと保つことが重要なのは分かりました。
しかし、これは言われてできるものではありません。
ではどうすればいいのか?
答えは、日々鍛錬を繰り返し、数をこなす、です。
人間の高い集中状態を維持することや、平常心を保ち続けることは、とても難しいのです。
生物学的に考えて、自分より能力が高い相手に挑むのは、バカなのです。
自分から命を捨てにいってるようなものです。
だから多くの人にはこれができません。
むしろ、みんなが強大な敵(ライオンなど)に立ち向かっていたら、今頃人類は滅亡しているでしょう。
強い敵からは逃げる、これは生存本能としていたって健全です。
そして、その生存本能を超えるほどに精神を鍛えることができれば、どんなに最悪の環境で強大な敵を相手にしても勝つことができるのです。
常に先手をとる
相手のペースに飲まれてしまうと、勝利は遠のきます。
徹底的なリサーチをし、競合の状態を想像し、相手の手札を考えます。
そして敵の弱い部分(崩れ)を見つけた、もしくは崩れが発生したら、そこを一気に突きます。
いけると思ったら、先手必勝で即行動します。
真剣勝負においてのチャンスのつかみ方は、この崩れに注目することです。
先手をとって、相手のペースを狂わせ、自分のペースに引きずり込みましょう。
先手という概念には、環境も含まれています。
宮本武蔵は、戦いの場所すらも先に決めており、自分に有利な環境を作り上げていました。
太陽の位置、視点の高さ、足場の位置、その他色々と、自分が有利になるように先手をうっていたのです。
これは先手でもあり、自分の手札を増やす作業でもあります。
勝利のためには、使えるモノは全て使うのが、宮本武蔵の戦闘哲学です。
目的を見失わない

常に何が目的で、何が手段なのかを把握しましょう。
真剣勝負においての目的は勝利です。
それを見失ってはいけません。
勝利が目的なのであれば、小手先の技術や偏重した考え、思い込みや先入観に、それを左右されてはいけません。
例えば、自分の流儀に絶対的な自信があり、そればかりに執着している人がいます。
「俺にはこの技術(その他技、能力、スキルなど)があるから絶対に勝利できる!」
このような考えでは、ダメなのです。
1つの手段を絶対的なものと捉えている時点で、その人の自信のなさ、心の弱さが見て取れます。
何が起こるかわからない真剣勝負において、これがあるから絶対に大丈夫!なんてことはありません。
技術に頼りすぎると、その技術が使えない局面に立ったときに、勝ち筋がなくなってしまいます。
例えば、佐々木小次郎と宮本武蔵が戦った際は、宮本武蔵が勝利しています。
佐々木小次郎も相当の強者だったにも関わらず、なぜ宮本武蔵が勝利できたのでしょうか?
それは、佐々木小次郎の強みを消したからです。
佐々木小次郎は自分の武器(長い刀)に頼った戦闘スタイルだったそうです。
雑魚兵であればそれで無双できたかもしれませんが、宮本武蔵はそれを事前に把握しており、彼の刀よりもさらに長い刀を用意して戦いました。
佐々木小次郎の、自分の武器に頼った戦い方は、その強みが消されたときにどうしようもない、という弱点を備えていたのです。
また、型にはまった考え方も良くありません。
自分は~~流だから負けることはない、という考えもダメなのです。
宮本武蔵の二天一流は、構えがあって構えがないことを極意とします。
基本の型は非常に大切です。しかし型にはまりすぎてしまうと、本来の力は発揮できなくなってしまうのです。
宮本武蔵「五輪書」まとめ
宮本武蔵の戦闘哲学とは、戦術を学び、己を学ぶことで、真の自由を手に入れる、ためのものです。
今回ご紹介した内容は以下になります。
- 1つの道を究めよ
- 勝利のためには、使えるモノは全て使う
- 平常心を保つ
- 心を鍛える
- 常に先手をとる
- 目的を見失わない
ぜひ参考にしてみてください!
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