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マーシャル「経済学原理」を分かりやすく解説:新古典派経済学とは

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マーシャルはイギリス出身の経済学者です。

経済学の目的がたんなる富の研究ではなく、人間の研究であることを主張し、新古典派経済学の基礎を作りました。

経済学を学ぶことは、人間の理解へと繋がるのです。

この記事では、そんなマーシャルの著書「経済学原理」を解説していきます。

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アルフレッド・マーシャルとは

Wikipedia参照

アルフレッド・マーシャル(1842-1924年)はイギリスの経済学者です。

大学教授として経済学の発展に大きく貢献し、新古典派経済学の基礎を作り上げました。

特にジョン・メイナード・ケインズアーサー・セシル・ピグーを育てた人物として知られています。

彼の主な著書には、「経済学原理」「産業経済学」があります。

平凡な家庭(父はイングランド銀行の行員、母は肉屋の娘)に生まれたマーシャルは、父親の強い勧めにより、ケンブリッジ大学に入学します。

数学専攻で学年二位の成績を収めた結果、教師として就職することが決まり、ケンブリッジ大学セント・ジョンズ・カレッジにて教職に就きます。

彼はその間に形而上学、倫理学、心理学などを学び、道徳科学の講師にもなります。

以降、彼はユニバース・カレッジ・ブリストルの学長に就任し、最終的にはケンブリッジ大学へと戻ってきて終生を過ごします。

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マーシャル「経済学原理」の解説

「経済学原理」(1890)はマーシャルによって書かれた経済学書です。

経済学の基礎的理論をいくつも確立した書籍であり、彼の理論は現代の経済学においても重要な役割を果たします。

870ページもある本書は、明快で分かりやすい文章によって書かれており、高い評価を受けています。

新古典派経済学

19世紀は古典派経済学が主流の時代でした。

自然的均衡を信頼して、全ての人間が己の利己心を頼りに経済行動をするべき、という主張がメインだったのです。

自由放任主義的で、希望的思想に近いこれらの主張はマーシャルにとっては、理解しがたいものでした。

彼はそんな現状を打破するために、新たな経済学的思想を生み出しました。

彼は、目標達成のためには、政府による積極的な政策導入が必要である、と考えていました。

そして経済の仕組みを詳細に分かりやすく説明できる、科学としての経済学を目指しました。

結果的にマーシャルは新古典派経済学の基礎的理論をいくつも確立し、一般化します。

例えば、曲線図表やグラフによって示される需要と供給の関係性などが挙げられます。

経済学の目的とは人間の研究である

経済学の存在する理由はなんでしょうか?

経済学を追求した結果、どんな目的を達成できるのでしょうか?

19世紀当時の人々の中には、経済学のことを”利己的な利益の科学”と揶揄する者もいたそうです。

しかし、マーシャルはそうは捉えていませんでした。

経済学の面白いところは、他の社会科学と比べて計測可能な部分が多いことにあります。

人間の稼ぎ、消費、貯蓄、投資、これらはすべて貨幣として計測でき、需要と供給の曲線を用いることで視覚的にも表現することができます。

マーシャルは貨幣の意味を、「低級であれ高尚であれ、物質的であれ精神的であれ、ありとあらゆる目的」を達成する手段である、と言いました。

そして人々は、色々な動機によって多種多様な経済行動を起こします。

社会的に承認されたい、家族を養いたい、人々に貢献したい、困っている人を助けたい、など様々です。

つまり、経済学とは貨幣という手段を通して人間がどのような行動をするのかを観察する、人間の研究なのです

そして人間まれに、自己の欲望を最大化しない、非合理的・非生産的な行動を起こします。

自己の利益だけを追求し、自然的均衡を達成する”利己的な利益の科学”は空想世界の話であり、現実では起こり得ない、とマーシャルは考えました。

商品の値段

商品の価格は何によって決定されるのでしょうか?

古典派経済学の人々は、商品の生産と供給にかかるコストだけが価格の決定要因になると考えていました。

しかし、マーシャルは異なる主張をします。

商品の価格は需要と供給の両方を反映することで決定される、と考えました。

需要と供給は常に自己調節を繰り返す、商品は均衡価格に落ち着き、資源の最適配分が達成される、と考えたのです。

需要と供給 - Wikipedia
Wikipedia参照

マーシャルは、「マーシャルの需要供給曲線」と名付けて曲線図表にしました。

需要は、所得の変化、消費者数の変化、価格競争、期待値などによって変化します。

供給は、生産者の利潤追求のみによって変化します。

そして需要曲線と供給曲線が交わるところでは、消費者と生産者は喜んで商品売買をするのです。

限界効用

マーシャルはいくつもの経済理論を構築しました。

その中の1つが限界効用です。

限界効用とは、物およびサービス(財)を1単位追加して消費することによる効用(財から得られるメリット)の増加分のことを指す

限界効用は、財の消費量が増えれば増えるほど少なくなっていきます。

例えば、とてものどが乾いているときにお茶をもらったら、すごく嬉しいです。

2杯目をもらっても、まだ嬉しいかもしれません。

しかし、3杯目以降は十分お茶を飲んでしまったので、あまり嬉しくないでしょう。

このように、限界効用は、消費量が増えるほど少なくなっていく(逓減する)のです。

マーシャルは、これを限界効用逓減の法則と名付けました。

これは消費活動以外にも当てはまります。

例えばヘアカットや教育が挙げられます。

どれも最初はありがたいものですが、回数を重ねるにつれて嬉しさ(効用)が減っていきます。

消費者余剰

消費者が商品を買った際にどのくらい満足するかは、消費者余剰によって解説できます。

消費者余剰とは、実際に財に支払う価格と、支払ってもよいと考える価格の差を指す

この差が大きいほど、消費者が得る満足度は上がっていきます。

例えば、1000円くらいなら払えるな!と思って食べたハンバーガーが500円だったら嬉しいですよね。

そしてそのハンバーガーが300円だったら、もっと嬉しいはずです。

この価格の余剰分によって、消費者の満足度は定義することができます。

実はこれは生産者にも当てはまります。

生産者余剰と呼ばれるもので、低価格で売っても問題ないが、あえてより高い価格で販売することを指します

飛行機のフライトチケットが無駄に高かったり、スタバのフラペチーノが600円もするのはこれが原因です。

価格弾力性

マーシャルが構築した経済理論の中に価格弾力性というものがあります。

価格弾力性とは、価格の変化により、需要や共有が変化する性質を指す

価格が変化したらすぐに消費者が購入を諦める場合は、価格弾力性が高い、と表現できます。

例えば、車に乗る人はガソリンを定期的に入れなければいけません。

ガソリンは定期的に値段が上がったり下がったりします。

しかし、消費者は値段がいくらであろうが必要だから購入します。

つまり、価格弾力性が低いのです。

一方、高級ブランドの洋服であれば、値上がりしたり不景気になると、消費者はすぐに購入を諦めます。

つまり、価格弾力性が高いのです。

マーシャル理論の問題点

マーシャル理論にも問題点はありました。

マーシャルは全ての理論を完全競争という前提の元、組み立てていました。

完全競争とは、完全な市場を指し、市場に関わる生産者と消費者全てが特定の商品の品質や価格について十分な知識を持っている状態の市場を意味する

このような状態であれば、需要と供給は均衡を保ち、市場は頻繁に清算されると考えていたのです。

ここでの問題点として以下が挙げられます。

  • 生産者はともかく、消費者の商品に対する知識が常に十分だとは限らない
  • 全ての商品は同一ではない
  • 突発的な変動を考慮していない

まず、消費者が商品に対する知識を十分に持っているとは考えにくいです

例えば企業が市場を独占していたら、正しい商品価格を知る由もありません。

最近で言えば、携帯の通信料は高すぎるという問題が露呈しましたが、内部の人間がこれを外に漏らさなければ、消費者は一生気付くことはなかったでしょう。

また、それ以外にも規制が厳しかったり、産業構造的に圧力団体が存在するなどで、情報を十分に提示できない可能性があります。

また、生産者は商品をできるだけ差別化しようとします

他社商品との競争をできるだけ減らそうと努力するからです。

そうすると、消費者は全ての商品に対して十分な知識を得る必要が発生します。

ほとんどの製品が同一の商品であれば、十分な知識を得ることは可能ですが、全ての商品が差別化されていると、消費者は商品の完全把握をすることができないのが当然になります

最後に、マーシャルの理論は秩序ある平和な世界を想定していました

しかし現実の世界は、ありとあらゆる政治・社会上の事件によって、頻繁に変化しているのです。

経済学がさらなる発展を遂げるためには、制御不可能な社会的性質まで考慮する必要があったのです。

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まとめ

マーシャルは「経済学原理」を通して、新古典派経済学の基礎を築きました。

彼の理論はいくつかの問題点を抱えているものの、現代の経済学に大きく貢献しています。

彼の理論を学ぶことで、現実の消費行動の見え方が変わるかもしれません。

ぜひ参考にしてみてください😆

以下この記事でのまとめです。

  • マーシャルとは、イギリスの経済学者
  • 「経済学原理」の内容
    • 新古典派経済学とは、自然的均衡を否定し、積極的な経済への介入の必要性を説く学問である
    • マーシャルは商品の値段を需要曲線と供給曲線によって定義した
    • 限界効用とは、物およびサービス(財)を1単位追加して消費することによる効用(財から得られるメリット)の増加分のことを指す。
    • 消費者余剰とは、実際に財に支払う価格と、支払ってもよいと考える価格の差を指す。
    • 価格弾力性とは、価格の変化により、需要や共有が変化する性質を指す。
    • マーシャル理論には、商品知識の不十分性、商品の差別化、突発的変動の可能性、などが欠けている

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