渋沢栄一をご存知でしょうか?
彼は日本資本主義の父とも呼ばれ、日本近代化に大きく貢献した人物です。
2024年に日本の1万円札の絵柄が変わり、福沢諭吉から渋沢栄一になることで話題になりました。
今回は彼の著書である、「論語と算盤」を参考に、日本人が身に着けるべきマインドセットについて解説していきます。
日本の近代化に大きく貢献した渋沢栄一についてです!
渋沢栄一とは?
渋沢栄一(1840-1931)は、日本の武士、官僚、実業家です。
彼は、日本資本主義の父、実業界の父、金融の父などと呼ばれるように、日本の発展に非常に大きな貢献をしたことで有名です。
設立に関わった会社は非常に多く、その数480あまりと言われています。
その種類も非常に豊富で、みずほ銀行に始まり、東京海上火災やJR東日本、キリンビールや東京電力、さらには帝国ホテルにまで関与しているそうです。
名だたる企業ばかりで圧倒されてしまいますね。
さらに彼は、600以上の社会事業にも携わっていました。
日本赤十字社や一橋大学、早稲田大学などは彼の慈善活動の一貫として関わっていた社会事業になります。
また、官僚としては日中や日米との国際外交にも力を入れており、あらゆる面から日本の発展を支えていたことが分かります。
論語と算盤とは?
彼の著書である「論語と算盤」は、1916年に初版出版されました。
後の起業家を育てるために彼の人生哲学が書かれた本で、道徳と経営の統一を強くすすめています。
本書のタイトルにある通り、論語と算盤はそれぞれ道徳と経営を表わしています。
論語=道徳・倫理、正しく生きるための指針
算盤=経済・ビジネス、利益を追求する活動
なぜ渋沢栄一は本書を書くに至ったのでしょうか?
それは当時の日本人商人のレベルが低かったからです。
日本人商人の多くは、今までに道徳を学んだことがなく、自分たちの利益だけを追及していました。
つまり論語よりも算盤を重要視していたわけです。
その結果、他国からの批判が殺到しました。
「日本の商人はインチキばかりで信用できない、取引したくない」
このような意見を知った渋沢は、日本人商人のレベルの低さを痛感し、道徳とビジネスを両立させることの重要性を説いたのです。
彼の哲学によると、論語と算盤(道徳とビジネス)のバランスを調和させないと、社会は健全に発展しない、とされています。
現代の世の中はどうなっているでしょうか?
資本主義社会が加速し、多くの人の頭には拝金主義の思想が植えつけられています。
歴史を見ても、リーマンショックであったりバブル崩壊であったりと、算盤を追求しすぎて痛い目を見ていることが何度もあります。
欲望を丸出しの資本主義では、世界はいつか崩壊してしまうのです。
ではどうすればいいのか?
論語(道徳)を養いましょう。
これが渋沢の主張です。
実際に現代は、SDGsやCSRが叫ばれる時代になっており、企業も個人も道徳的な思想と行動が問われている時代と言えます。
そんな現代において、過去に大きく日本を発展させた渋沢栄一の「論語と算盤」を読むことは、良く生きるために必要不可欠とも言えるでしょう。
論語と算盤の解説
ここからは、渋沢栄一の著書である「論語と算盤」の内容について解説していきます。
前提
渋沢が生きていた時代は、まだ教育が国民に平等に与えられていなかった時代です。
武士は儒教や朱子学を学ぶことで、道徳教育を手厚く受けていましたが、逆に経済に関する学問、つまりビジネスについては全くの無知でした。
一方、農工商に携わる人々は、西洋から入ってくる技術や実際にビジネスを成り立たせるための経済知識(算盤)を習得していたものの、道徳教育はほぼされていない状態でした。
武士には算盤が足りず、農工商人には論語が足りなかったのです。
そして、明治維新によって武士制度はなくなりました。
これからの時代は、全ての人に「論語と算盤」が必要になったのです。
侍の魂と商人の能力を持て
論語と算盤は遠い存在に見えて、非常に近い存在です。
論語があるから算盤はいらない、算盤があるから論語はいらない、ではいけないのです。
どちらもバランスをとって、「侍の魂を持ちながら、商人の能力で戦う」ことが重要なのです。
ちなみに本書の中では、これを「士魂商才」と呼んでいます。
士魂商才を目指すべき、ということは良く分かりますが、これを実際に実践すること、そして相手が士魂商才かどうか見抜くことは難しそうです。
それに対して渋沢はなんと答えるのでしょうか?
彼は士魂商才を見抜くための人間観察法を提示しています。
この人間観察法は「視・観・察」と呼ばれるものです。
視=その人の外観や行動を見る
観=その人の動機を見る
察=その人が何に満足や喜びを感じるのかを見る
視を使うと相手の商人としての能力が分かり、察を使うと相手の倫理観や道徳観が分かります。
例えば、仕事のできは非常に高く、ビジネスセンスも高い人がいたとしても、その人がお金を浪費することに喜びを感じているようでは、その先に健全な結果がない、ということです。
逆にすごく優れた道徳観があり、社会貢献しているときに幸福を感じる人であったとしても、ビジネスが絶望的にへたくそでは、結果がでないのです。
この「視・観・察」は人に対してだけでなく、自分にも適用させることができます。
自分自身を知るための方法として使ってみるのも良いでしょう。
正しい常識と習慣を得よ
常識とは、その人のコアとなる品格のこと、習慣とは、日々繰り返すことで自分を作り上げていく行動のこと、を表わします。
優れた常識と良い習慣をもつ人が、健全な社会を作り出していくのです。
渋沢の定義では、常識を持つ人とは「意思ある者が知恵を身に着け、そのうえで情愛を持って分けていく人」となっています。
知恵と情愛と意思(智情意)を持っていて始めて常識を持つ人となるのです。
この3つの内、1つでも欠けてしまうと、トラブルに巻き込まれたりと何か問題が発生してしまうのです。
具体例を挙げましょう
豊臣秀吉は、意思と知恵が優れた人物でしたが、情愛が足りず地を治めることができませんでした。
徳川家康は、上記3つ全てを会得していた(論語を勉強し、どうすれば反乱がおきないか、人民をコントロールできるか、を学んだ)ので地を治めることができました。
もし自分に足りないものがあると思うのであれば、それを習慣に落とし込むことで会得する必要があります。
どんな成功者であっても、その成功を勝ち取るまでに非常に膨大な努力をしているはずです。
今日から良い習慣を始めましょう。
志を立てよ
「視・観・察」や「智情意」などのフレームワークを活用して自分の向き不向き、得意不得意をしっかりと把握し、そしてどういった形で自分が社会貢献をしていくのかを考えましょう。
自分の社会貢献の仕方を確立することを「立志」と言います。
渋沢栄一の名言に次のようなものがあります。
才能と道徳は積み重ねていくもの、そこから得意不得意を学び社会への貢献をしていく
渋沢栄一
論語と算盤を学び、常識と習慣を得ることで、志を決められるのです。
渋沢栄一「論語と算盤」まとめ
渋沢栄一は日本近代化の父と呼ばれ、数々の功績を残した偉人です。
彼の著書「論語と算盤」には、彼の人生哲学がたくさん書かれています。
彼の教えから分かることは、道徳とビジネスの両立をすることで初めて、社会は健全に発展していくということです。
ぜひ参考にしてみてください😆
渋沢栄一は、誰よりも志が高い人だったのでしょう。だからこそ数多くのことを成し遂げることができました。彼から学べることは非常に多いです!
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