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パスカル「パンセ」を分かりやすく解説

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「人間は考える葦である」

このフレーズを聞いたことがある人は多いのではないでしょうか?

この言葉は今から300年前に「パンセ」という本に書かれた言葉です。

「パンセ」の作者はブレーズ・パスカルといい、17世紀フランスを代表する哲学者です。

この記事では、そんなパスカルの「パンセ」について解説していきます😆

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パスカルとは

Wikipedia参照

ブレーズ・パスカル(1623-1662)は17世紀フランスを代表する数学者・物理学者・哲学者です。

非常に優秀な人間であり、興味の分野も多岐にわたっており、自他ともに認める天才でした。

しかし、彼の生涯は短く、30代という若さでこの世を去ります。

パスカルはフランスの裕福な上流階級の家に生まれます。

厳格な父親に育てられたパスカルは、数学や物理に傾倒し、数々の成果を挙げていきます。

例えば、パスカルの定理パスカルの原理、圧力の単位であり台風の度に聞くhPa(ヘクトパスカル)などは、全てパスカルの研究に由来します。

しかし、父親の死をきっかけに、研究対象は科学から哲学へと変わっていきます。

今までは父親が示してくれた道をたどれば幸せになれると思っていたパスカルですが、父の死別により、その目指すべきものが分からなくなってしまったのです。

そんなことを考えるうちに、彼は人生の意味について考えるようになり、それが哲学へとたどり着いたのでした

科学者が哲学をする、という試みは後の哲学界に大きな影響を与え、彼の著書は今でも読み継がれています。

数学者だからこそ、論理的に人間に関してを追求する、一歩距離を置いて冷徹に人間を観察する、これらが非常にユニークなのです。

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パスカル「パンセ」とは

「パンセ」とはパスカルの著書であり、哲学書です。

「パンセ」という名前については、日本語で「考えられたもの」という意味があります。

フランス語の動詞「考える」が受身形になって「考えられたもの」となり、それを「パンセ」と呼ぶのです。

また、本書は924の断章からなっており、章の長さは一行のものから数ページにまたがるものまで、多種多様です。

なぜこのような特殊な構成となっているのでしょうか?

実は、パスカルはこの「パンセ」を書き上げる前に亡くなってしまいます。

「パンセ」とは、パスカルの残した準備段階のノートの集まり(ネタ帳)を、書籍という形に変えて出版されたものなのです

つまり、この本はパスカルの名言集のようなものなのです。

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パスカル「パンセ」の解説

この章では、パンセの具体的な内容について解説していきます。

実際の本には色々な内容が書いてありますが、この記事ではその中の一部について紹介したいと思います。

自己愛

人間なら誰しも自己愛を持っています。

誰よりも一番自分がかわいいものです。

しかし、この自己愛についてパスカルは「諸悪の根源」だと表現しています。

人間に起こりうる全ての悪は自己愛に執着する、と言っているのです。

自己愛の本質とは自分しか愛さず、自分しか尊敬しないことです。

もしあなたがパーフェクトヒューマンなのであれば問題はありません。

しかし、実は愛してやまない自分が欠点だらけのダメ人間だった時に、人間には卑しく防いで罪深い感情が出てくるのだとパスカルは言います。

それはどんな感情かというと、自分の欠点を覆い隠そうと全力を尽くし、自分は素晴らしい人間であると世間に対して嘘をつきたくなる感情です。

つまり、自己愛は人間に嘘や欺瞞、虚栄を作り出させるのです

これが人間の不幸の原因であり、悪の根源なのです。

真実は人を傷つける

自己愛は人間をありのままの状態から遠ざけ、不幸を生み出す原因であることが分かりました。

そしてこの事実からある現象を説明することができます。

それが、人間は真実を知りたがらない、ということです。

例えば、会社員であるAさんとBさんがいたときに、Aさんは上司に対して真実ばかりを話します。

Aさんの話す内容

  • 上司の悪いところ
  • この会社の仕組みの悪いところ
  • 売上に現状

それに対してBさんはゴマすりをします。

Bさんの話す内容

  • 上司の良いところ
  • この会社の良いところ
  • 売上の理想

多くの場合は、Bさんのようなゴマすり社員が出世していきます。

これは、上司は真実を聞かされると傷ついてしまうからです。

真実を話すと、必ず誰かを傷つけます

正しいことを話していたとしても、それは相手には届かないのです。

パスカルはこの真実を太陽光線に例えました。

太陽光線は直視すると目を傷つけてしまいます。

それと同じで、真実も直視すると心が傷ついてしまうのです

そして、真実が心を傷つけてしまう理由が自己愛なのです。

理想的で完璧だと思っていた自分が、実は全然たいしたことない人間だという真実は、自己愛を傷つけることになるのです。

なぜ生きることは辛いのか

パスカルは「パンセ」の中で、生きることは辛いものである、と断言しています。

  • 私たちは慰めがないほどみじめな存在である
  • 人間は生まれながらにして不幸を運命づけられている

人間は生まれた瞬間から不幸を定められていると、パスカルは考えたのです。

なぜ人間は不幸を決められているのでしょうか?

全ての生命は等しく死に向かっていきます。

アリも、ゾウも、ライオンも、植物も、生きとし生けるもの全てが生まれた瞬間から死に向かっています。

しかし、彼らと人間にはある1つの大きな違いがあります

それが、”人間は考えることができる”という点です。

人間は自ら考えることができます。

人間以外の動物には思考するという概念は存在しません。

人間だけが物事について、より深く思考することができます。

そして、この考えてしまうことは不幸の原因になるのです

なぜなら、思考することはネガティブを生み出すことだからです

例えば、死について考えることができるのは人類だけです

他の動物はただ生きているだけで、ある日突然死んでしまいます。

しかし人間は、死について考えて怯えることができます。

死ぬことは怖い事なんだ、と考えた瞬間に、何も考えていない動物たちよりもマイナスで不幸な状態になっているのです

自己愛も同じです。

人間以外の動物に自己愛は存在していません。

人間は思考ができるがゆえに自己愛が生じるわけです

自己愛は嘘や完璧主義を生み出し、真実を直視しないような性格を作り出します

結果的にそれらは人間に悩みを生み出すわけです。

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何もしないことが一番の苦痛

人間は何もしないことが一番の苦痛になります。

なぜなら、何もせずにじっとしていると、思考がどんどん活性化していき、どんどん不幸になっていくからです

事実、多くの人は1人で家に籠ってずっと何もせずにいることができないでしょう。

これは、何もせずにじっとしてることが苦痛であるからです。

だからこそ、色々なイベントが人生にはあります。

恋愛や仕事、趣味や人間関係など、人生には色々な出来事があります

これらは全て、死に対する気晴らしに当たるのです。

死についてできるだけ考えたくないがために、色々なイベントを作り出して、意識を死から遠ざけることで、気晴らしをしているのです。

パスカルは次のような表現をしました。

人間は生まれた瞬間から死という壁に向かっている。

そして彼らはその壁を見ないように、気晴らしをしているのだ。

考えることは尊厳である

ここまで読んでいると、思考すること・考えることは良くないのでは?と思われるでしょう。

思考することが人間を不幸にするのは事実です。

しかし、この思考することは人間だけに与えられた特権でもあると言えます

はるか昔に認知革命が起こり、人類は”思考する”という新たな能力を得ました。

この能力は非常に強力で、ホモサピエンスは他の動物を駆逐し人間社会を構築しました。

パスカルは、思考することは人間を不幸にすると同時に、尊厳を生み出している、と言いました。

人間は明らかに考えるために作られている。

それが彼のすべての尊厳、彼のすべての価値である。

そして彼のすべての義務は、正しく考えることである。

「パンセ」

なぜ多くの人は思考することが不幸に繋がってしまうのでしょうか?

それは思考が足りないからだとパスカルは言います。

思考が足りないと思考は人間に不幸をもたらす、しかし思考すること自体を思考することにより、それは尊厳になりうると説いたのです。

もしあなたが何かに悩んでいるのであれば、あなたは悩むという思考ができてる、ともう一段階上の視点であなたをとらえてみましょう

悩んでいる、という行為を行える自分を認識することで、思考できている自分には尊厳があることを認識できるので、何か誇らしい気持ちになれると思います。

思考することは、人間が人間たる所以です

どんなに悩んでいたとしても、あなたは思考ができている時点で尊厳があるのです。

人間は考える葦である

パスカルの名言に次のようなものがあります。

人間は考える葦である

ブレーズ・パスカル

彼はこの言葉にどのような思いを込めたのでしょうか?

パンセの文章を分かりやすくしたものが下記になります。

人間は一本の葦のような存在です。

自然の中では最も弱い存在かもしれません。

しかし、その葦は考えることができます。

そこに全ての尊厳があるのです。

全宇宙が人間を押しつぶそうとも、人間は宇宙よりも気高いのです。

なぜなら、宇宙は自分がなんであるかを知らないのに対して、人間は知っているからです。

人間は考えることができる時点で、全宇宙の何よりも優位なのです。

人間は考えるという所から全てが始まります。

ゆえによく考える努力をしよう。

そこに道徳の真理があります。

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まとめ

パスカルはその論理的で数学的な思考を用いて、人間についてを詳しく考えました。

彼の著書である「パンセ」には人間に対する考察が数多く書かれています。

人間が思考することは、不幸の原因でありながらも尊厳の根拠でもある、という考え方は非常に興味深いものです。

  • パスカルは論理的な思考を用いて、人間について哲学した
  • 人間は思考できるから不幸である特に自己愛や死について考えることは人間を悩ませる
  • 人間にのみ与えられた能力が”思考すること”であり、人間は思考できるから尊厳がある

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